地元民がとっておきにしている“たばる”な情報を突撃取材!
- スポット
- 自然
- 通年
飛騨は山のテーマパーク
自然の中にある感動を探して
登山ガイド 山本孝子さん
1 鏡池からのぞむ夕陽に染まる穂高連峰
飛騨高山はその名が示すとおり、山の都です。険しい山が襞のように重なる様子が「飛騨」の地名に由来すると言われてもいます。面積は2177.61平方キロメートルあり、東京都全体にほぼ匹敵する日本で最も広い市であり、92%あまりを山地が占めています。
なかでもひときわ高くそびえ立ち日本百名山に数えられる乗鞍岳、焼岳、穂高岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳、御嶽山(飛騨頂上)の六座は高山市内に位置します。雄大な遠望、山麓に広がる森、雪渓、尾根からのパノラマ、火山池、稜線沿いや湿地に広がる高山植物、そして縦走の魅力など、個性あふれる山容と緩急豊かなルートは、日本全国の登山愛好家を魅了してやみません。
そんな高山で登山ガイドとして活躍する山本孝子さん。
取材の前日は乗鞍スカイライン畳平から剣ヶ峰へ登る、いわば登山入門編と銘打った名古屋からの日帰りバスツアーのお客様をご案内されていました。
山本孝子さん
「入門編ということで初心者の方から日本百名山百座目という方まで、さまざまなお客様が参加されていました。乗鞍はスカイラインがあって登りやすいと思われますが、決してたやすい場所ではありません。乗鞍スカイライン終点の畳平で2,702mという森林限界を超えた標高であり、空気も薄い場所です。そして火山活動でできた山なので溶岩がゴロゴロした場所も登山道となっています。ケガの無いよう安全にかつ楽しんでいただけるよう導くのが私の仕事です。」
名古屋市出身の山本さんがご主人の故郷である高山に居を移したのが34年前。登山研修に参加し、槍ヶ岳に登ったのが山に魅了されるきっかけとなりました。
「車で行けない場所に一歩一歩自分の足で登り、たくさんの発見と感動がありました。
大自然には嘘偽りがないと改めて気付きました。この感動を家族で共有したいと翌年には、槍ヶ岳に家族登山し、当時小2と年長だった息子たちも自分の力で登頂する喜びを味わいました。」
親子で登山をしたとき、テントから見た満天の星、朝焼けの美しさや夕陽の鮮やかさなど、子どもたちと共に感動し、たくさんの発見があったと言います。
「高山市は小学生の野外学習がありますが、大自然の中で、はじめは緊張している子どもたちが森を歩いているうちに、どんどん生き生きとしてきます。山の厳しさや水の大切さ、せせらぎや滝のマイナスイオン、森のすばらしさを発見したり、高いところからの眺望など、その時、その時でいろんな感動と発見があります。」
子育てが一段落し、登山ガイドの資格を取得すると、さまざまなクライアントからの依頼で飛騨はもとより県内外の山で活躍し約10年。
「健康志向の方や、定年退職された方、子育てが終わられた方など、いろんなきっかけで山に登りたいという人が増えてきているのが嬉しいですね。
最近はキャンプブーム?で若い女性もテント泊登山を希望される方もいらっしゃいます。」
大切なのは自分の足で登ったら、自分の足で降りてくること。そして登山は自分との対峙であるという山本さん。お客様自身が感動を見つけられるよう、ゆとりある行程で安全に、そして元気よく下山できるよう心を配ります。
「山での出会いもたくさんあり、飛騨高山から来た、というと誰もが喜んでくださいます。遠くから仕事を終えた後、夜行バスでいらっしゃる方も多いのに、私は登山口まで車で1時間という場所に住んでますから。。。」
そんな山本さんのご主人も定年退職後、登山ガイド資格を取得し、孝子さんと一緒に活動されています。
「山が大好きでとにかく山にいたいから登山ガイドになったんです。登頂すると、更なる景色が見えてきて、次はあの山に登ってみたい、あの尾根を歩いてみたい、と思いがどんどんふくらむんですよ。」
ここ飛騨高山の魅力のひとつに、まぶしいほど輝く雪の乗鞍岳や、美しい夕陽に浮かび上がる飛騨山脈を身近に眺められることがあります。
春夏秋冬うつり変わる景色を楽しむこともできる、山は大自然のテーマパーク。新穂高ロープウェイや乗鞍スカイラインなどを利用して、無理せず景色を楽しみながら高い場所を目指すこともできます。
写真や映像だけでは感じられない景色をぜひ、それぞれの場所から眺め、五感を使って感じてみてください。
山本孝子さんへのガイド申し込みなどの問い合わせは
himemarusann@yahoo.co.jp
新緑の穂高平
飛騨山脈(北アルプス)のアーベントロート
2021/09/27 UP 取材協力:登山ガイド 山本孝子さん