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清涼な麦飯石地下水で仕込む飛騨の豆腐屋

飛騨高山 とっぺ屋 みやはる

飛騨高山 とっぺ屋 みやはる

アツアツの鉄板で焼いてタレをかけ鰹節やネギの薬味といただく「豆腐ステーキ」、「こも」という巻すで巻いてじっくり煮込んだ「こも豆腐」、醤油だれや味噌だれを染み込ませた味付きの油揚げ「あげちゃん」、飛騨には沢山の豆腐料理があります。市内のスーパーをのぞくと、豆腐売り場の種類の多さに驚かれる方もあるはず。そんな市内のスーパーでも人気の豆腐店「みやはる」さんの工場へとおじゃましました。

左:7割が地元スーパー向けに出荷されるみやはるの豆腐。20種類の製品が作られています。右:工場、直売店、お食事処が併設され、駐車場も完備。

左:7割が地元スーパー向けに出荷されるみやはるの豆腐。20種類の製品が作られています。
右:工場、直売店、お食事処が併設され、駐車場も完備。

山深い飛騨では豆腐のことを方言で「とっぺ」といい、貴重なタンパク源として、大豆製品がさまざまに工夫されて食されてきました。
みやはるは創業42年と飛騨では一番新しい豆腐店ながら確かな品質と美味しさで、ここのお豆腐でなければ、というファンも多い地元で愛されている豆腐店です。
高山インターから15分ほど車を走らせた、清見インター近くの山合いに工場があります。
「このあたりは地下10メートルほどに麦飯石の地盤があり、長い年月をかけてこの麦飯石でろ過された地下水は天然のミネラルウォーターでもあり、豆腐作りに最適なんです。実は豆腐の約90パーセントは水分です。このためいい水を使うことが、美味しい豆腐を作るための秘訣なんですよ。」
と社長の榮雄一さん。
麦飯石とは花崗斑岩の一種で、多孔質による吸着効果が水分中の不純物をろ過する性質があるとされると同時に、カルシウム・鉄・ナトリウム・マグネシウムといった、人の体に必要なミネラル分を溶出し、そのミネラルバランスを整える性質があるとされています。
また、ミネラルは細菌を静菌し、水中の酸素を吸収しやすい形にするため、酸素の豊富な水を作り出すと言われています。

左上:ふっくらと水を吸って膨らんだ大豆。豆腐の原料の実に90%は水だと言われます。右上:大豆は水を合わせながら滑らかにすりつぶして「呉(ご)」の状態にしていきます。左下:おからと豆乳に分けられていきます。このおからも美味しい。右下:できたての豆乳。しっかりと温度を管理するのが大切なのだそう。

左上:ふっくらと水を吸って膨らんだ大豆。豆腐の原料の実に90%は水だと言われます。
右上:大豆は水を合わせながら滑らかにすりつぶして「呉(ご)」の状態にしていきます。
左下:おからと豆乳に分けられていきます。このおからも美味しい。
右下:できたての豆乳。しっかりと温度を管理するのが大切なのだそう。

「原料となる大豆は、まず水洗いされ、その後“浸漬”といって水につけられます。ここで豆に水をたっぷりと吸わせますので、水の質はとても重要です。多くのこだわりの豆腐店が井戸水を使っていると思いますが、麦飯水を使っているのは全国でもうちだけですね。」と榮さん。
たっぷりの天然水を吸って膨らんだ大豆は麦飯水を加えながら磨砕します。 このときできた、どろどろした液状のものを「呉(ご)」といいます。これを加熱したものを絞り、「 豆乳」と「おから」に分けます。
これに凝固剤を加え"寄せる"という工程から、木綿豆腐ならプレスして水抜きをし、絹ごし豆腐ならそのままカットします。この工程は手作業で行われますが、大豆の種類や、乾燥度合い、気候によって職人のカンやコツが必要なところ。
みやはるでは30代の若いスタッフが技術を受け継ぎ中心となり、工場内には活気があふれているのも、ここの魅力です。

左上:寄せて固まった豆腐を崩しながら、また固める木綿豆腐。左下:プレスしてじっくり水を抜いていきます。豆の味が濃厚なしっかりした食感が飛騨では人気。

左上:寄せて固まった豆腐を崩しながら、また固める木綿豆腐。
左下:プレスしてじっくり水を抜いていきます。豆の味が濃厚なしっかりした食感が飛騨では人気。

左:職人が撹拌しながら、経験と勘で水抜きをしていくのが油あげ。右上:「とっぺ」と親しまれる豆腐の方言を残したいと、製品もとっぺの名前で親しまれています。右下:国産大豆の濃厚なうまみが冷奴に美味しい「郷の冷ややっこ」。

左:職人が撹拌しながら、経験と勘で水抜きをしていくのが油あげ。
右上:「とっぺ」と親しまれる豆腐の方言を残したいと、製品もとっぺの名前で親しまれています。
右下:国産大豆の濃厚なうまみが冷奴に美味しい「郷の冷ややっこ」。

ところで絹ごし豆腐と木綿豆腐、みなさんはどちらがお好みですか? 全国的には絹ごし豆腐の売り上げが7~8割と圧倒的なのだそうですが、実は飛騨地方では、木綿豆腐の売り上げが6割と好まれているのです。
「理由はいろいろありますが、この辺りでは長らく昔から各家庭で豆腐を作っていて、漬物石のような重りでしっかり水を抜いた硬めの木綿豆腐を食べていた背景があります。年配の世代の方はその味を覚えていらっしゃる方も多いですね。
木綿豆腐は一度寄せて、崩しながらながら再度固めて、という工程でしっかりとした食感と舌触りになり、醤油がよく絡んで味が乗りやすいとも言われます。
飛騨では絹ごし豆腐もきめ細かく、なめらかな舌触りは大切にしながら、箸で持てる硬さが好まれるんですよ。」
地元ブランドへのこだわりが強い土地柄、品質と味の追及は常に欠かせないのだとおっしゃいます。

左上:一つひとつ、半丁をこもで巻いて、窯で30分ほど炊いてつくる郷土料理「こも豆腐」。右上:水が抜けてスが入り、弾力ある歯ごたえのこも豆腐。煮あがりはこんなに小さくなります。下:こも豆腐は味つけしたものと、味つけなしの2タイプ。フライや鍋具材にもおいしい。

左上:一つひとつ、半丁をこもで巻いて、窯で30分ほど炊いてつくる郷土料理「こも豆腐」。
右上:水が抜けてスが入り、弾力ある歯ごたえのこも豆腐。煮あがりはこんなに小さくなります。
下:こも豆腐は味つけしたものと、味つけなしの2タイプ。フライや鍋具材にもおいしい。

出来上がった豆腐はここで初めて機械化されたパッケージ工程を経て、低温殺菌ののち、出荷や豆腐加工食品へと進みます。
飛騨のお正月や祝い膳に欠かせない「こも豆腐」もここで作られています。もともと保存食として工夫されたもので、“こも”という藁に包んで豆腐を煮てスがはいることで、ふんわりと弾力のある食感に仕上げた豆腐は、煮物や吸い物などに使われることが多いですが、味付けしたものに衣をつけて揚げるとナゲット風になったり、すき焼きや鍋の具材にすると、味がよく浸み絶品なのです。
こうした料理を味わえるのが、併設のお食事処「とっぺ屋みやはる」。豆腐ステーキはもちろん各種豆腐料理や飛騨の味を中心に、地元のお母さんたちが作る田舎料理、おふくろの味のお惣菜コーナーも人気で、第2、4日曜日に開催されるとうふランチバイキング(大人1,300円 子供650円)は地元客でいつも満員になるほど大好評。
豆腐作りに使われる麦飯水も味わえ、併設のショップでは出来立ての豆腐やこも豆腐、あげづけなども購入できます。

左上:地元の家庭でも楽しまれる味、とうふステーキ定食 850円 豆腐やあげをつかったお惣菜バーもついています。右上:広々とした店内は団体でもお食事OK。

左上:地元の家庭でも楽しまれる味、とうふステーキ定食 850円 豆腐やあげをつかったお惣菜バーもついています。
右上:広々とした店内は団体でもお食事OK。

大豆と水とにがり。極めてシンプルなものだからこそ、地域に根付く豆腐屋の良さを知ってほしい、と榮さんは言います。
最近では人気定番「枝豆どうふ」が東京や関西の百貨店や大手スーパーにも出荷されるみやはるさんですが、飛騨のお豆腐料理を支える地元ブランドの味、ぜひお試しください。

2020/06/26 更新 取材協力:とっぺ屋 みやはる

株式会社 宮春

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